風呂の残り湯を洗濯に使ったらダメ?注意が必要な残り湯洗濯。

美素肌情報

約200リットルもある、お風呂の残り湯。

もったいないので、多くの家庭で洗濯に再利用されています。

しかし逆に、残り湯は洗濯に使わないという家庭も増えてきています。

残り湯を洗濯に使うのはダメなのでしょうか?

残り湯派は約3割

現在、お風呂の残り湯を洗濯に使用している家庭は約3割です。(1)

この割合は年々減少していて、以前はもっと多くの家庭が残り湯洗濯をしていました。

今でも多くの洗濯機に風呂水ポンプが標準で装備されているため、残り湯洗濯が一般的だったたことがうかがえます。

一晩で雑菌1000倍以上

残り湯には、皮脂、角質、雑菌などの汚れが含まれます。

お風呂の残り湯を一晩置いておくと、雑菌数が1000倍以上に増えるそうです。

入浴人数などによりますが、一晩放置後に数十万個から数百万個になります。(2)

これは残り湯全体ではなく、ほんの「1mLあたり」の数です。

もし1mLあたり100万個の菌がいるとすると、一晩放置した風呂(200L)の中にいる菌の総数は、約2,000億個にもなります。

( お風呂の水量(200,000mL)× 菌数(1,000,000個/mL)= 2,000億個 )

雑菌500億個投入

洗濯に残り湯を50L使うとすれば、約500億個もの雑菌を洗濯機に投入することになります。

考えただけでなんだかゾッとしますが、まだいまいちピンときません。

そこでわかりやすくするために、ある物と比較してみました。

トイレブラシ〇〇本分

雑菌で真っ先にイメージするものといえば、トイレ。

トイレ自体は綺麗にしている家庭が多く、意外と雑菌は少ないらしいのですが、トイレブラシ1本には平均約8億個もの細菌やカビが付着しているそうです。(3)

「やっぱり、トイレブラシって汚いんだな~」と、しみじみ思いますが、それでもまだ8億個。

上記の例の場合、残り湯洗濯では500億個もの雑菌が入りますので、なんとトイレブラシ62本分にもなります。

( 残り湯洗濯1回分の雑菌数(500億個) ÷ トイレブラシ雑菌数(8億個/本) = 62.5本 )

菌種にもよるため、雑菌が多いほど汚いというわけではありませんが、残り湯にはこれだけ多くの雑菌がいるということがイメージできるかと思います。

残り湯洗濯イメージ

洗剤を多く入れれば問題ない?

「残り湯に雑菌が多くても、洗剤を多く入れれば問題ないのでは?」とも考えられます。

実際に、「洗剤を多く入れれば問題ない」というデータもあります。(4)

残り湯を使うなら、”その分”洗剤を追加すれば問題ないようです。

ですが…。

洗剤は入れ過ぎてもダメ

洗剤の量は適当に増やせばいいというわけではありません。

洗剤は多く入れればそれだけ汚れが落ちるというわけではなく、適量以上を投入しても洗浄効果はほとんど上がらないため、洗剤が無駄になります。

それどころか、衣類に洗剤が残留して、衣類が劣化しやすくなったり、肌の弱い人は肌荒れなどを引き起こす原因にもなります。

残り湯は使わずに、洗剤のパッケージに書いてある分量で洗濯するのが、簡単で確実かもしれません。

もちろん少なくてもダメ

約2割の家庭は、洗濯洗剤を少なめに使っているそうです。(5)

しかし洗剤には、「汚れの量に対して洗剤の量が少ないと急激に洗浄効果が落ちる」という性質もあります。

市販の洗濯洗剤は洗浄効果が高まるように設計されていますが、それでも適量の使用を心がけることが大切です。

洗剤を少なめに使っている家庭が残り湯を使った場合、きちんと洗濯できていない可能性があります。

洗剤量に対する洗浄効果イメージ

節水はできるが

たしかに、残り湯洗濯は水の節約になるのかもしれません。

しかし、洗剤の使用量が増えるし、あちこち汚れるので、本当にエコで経済的なのか疑問符が付きます。

残り湯洗濯は水不足の時に役に立つかもとも思いましたが、水不足の時に肩まで湯舟に浸かる人はあまりいないはずです。

まあ、給水ポンプがあれば、トラブルや災害時に何かの役に立つかもしれません。

片付けや掃除が大変

残り湯を使うには給水ホースが必要ですが、このホースを出したり片付けたりするのが大変です。汚れた水(残り湯)を汲み上げるので、ホース自体もどんどん汚れていきます。

また、残り湯を一晩放置すると、浴槽に汚れがこびりついて落としにくくなります。そのため、お風呂掃除も大変になります。

さらに、洗濯機も汚れやすくなるので、洗濯槽クリーナーなどでの洗浄回数を増やす必要があるかもしれません。

入浴剤を入れると残り湯が使いにくい

入浴剤は肌に良く、リラックス効果もあるのでおすすめですが、残り湯が洗濯に使いにくくなります。

洗濯に使えるように配慮されている入浴剤も多くありますが、パッケージをしっかり確認するなど注意が必要です。

入浴剤によっては、香料や色素が洗濯物にわずかに移ることがあります。(6)

「入浴剤を使いたいから残り湯洗濯はしない」という家庭も多いかと思います。

入浴剤を使った湯舟

残り湯を使うなら入浴直後

残り湯を使いたいのであれば、一晩置かずに、入浴直後に洗濯をすればいいわけです。

それどころか、少し高めの水温で洗濯できるので、汚れ落ちが良くなります。(熱に弱い繊維や色落ちする物は注意が必要です)

洗剤の量もパッケージに記載されている分量で大丈夫でしょう。

ただ、夜中に洗濯しないといけないので、洗濯時の騒音が近所迷惑にならないか心配です。それに、外にも干しにくいです。

あと、お風呂上りでリラックスしている時に、洗濯しないといけないと思うと億劫です。

騒音や手間が気にならないのであれば、入浴直後に洗濯するのがおすすめです。

すすぎには使わない

残り湯は汚れていますので、すすぎには使わないでください。

筆者

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参考文献

(1)「風呂の残り湯は使わない」「毎日洗濯しない」|令和時代の洗い方
サライ.jp
https://serai.jp/living/377093

(2)「風呂の残り湯は使っても良い?」
株式会社 衛生微生物研究センター
https://kabi.co.jp/remaining-hot-water-from-bath/

(3)「トイレの雑菌をちょっと科学しよう」
SCジョンソン社
https://scjcatalog.johnson.co.jp/life/souji_jyutsu/knowledge_03.html

(4)「風呂の残り湯使用による洗たくに関する検討」
近藤 邦成
https://www.jstage.jst.go.jp/article/senshoshi1960/13/3/13_3_97/_pdf

(5)「洗剤使用量に関する意識調査 2014」
日本石鹸洗剤工業会 山田 勲
https://jsda.org/w/01_katud/sentaku_chosa2014.html

(6)「洗濯への影響」
日本浴用剤工業会
https://www.jbia.org/safety6.html

(参照日2022-08-01)

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